交通事故で休業損害をもらうには~会社役員の場合

休業損害について

交通事故にあったことで仕事を休まざるを得なくなった場合、その分の休業損害はもちろん加害者側に支払ってもらうことができます。

これは、仕事を休まざるを得なくなった場合にもし事故前と同じように働くことができていたとしたらもらえたはずの報酬、言い換えれば休んだことによって失った部分の報酬を補償してもらえることになるということです。

注意しないといけないのは、事故前に得ていた全ての収入、報酬、所得についてその全額を支払ってもらえるわけではないということで、あくまで休んだために減ってしまった部分について補償してもらえるというのが原則であることに留意しましょう。

分かりやすい例を挙げれば、例えば銀行に預けてある預金から得られる利息を考えてみてください。銀行預金の利息は、交通事故で入院したからといってもらえなくなってしまうものではありません

似たような例として不動産のオーナーとしての賃貸料収入が揚げられます。これも、本人が仕事ができるかできないかに関わらず自動的に得られる収入です。事故で治療に専念するためにベッドに寝たきりになったからと言って失ってしまう収入ではありませんから、これは休業損害として補償してもらうことはできません。

役員にも発生するのか

では会社役員の場合はどうなるのでしょうか。役員の場合、通常の会社員とは別の体系で報酬をもらっていることが通常のはずです。率直に言えば、役員報酬は一般の会社員のように労働の対価としてではなく、会社としてあげた利益の分配という形で決められていることも多く、その場合は、要するに本人が仕事をしていようがいまいがもらえる報酬ということになってしまいます。

このケースであれば預金利息とか不動産賃貸料収入と同じということになり、休業損害は補償してもらえません。
しかしこれは何かおかしな話ではないでしょうか。どんな会社であっても、仕事もしていない役員に対して、会社として得た利益を他の人と同じように分配しようとは思わないでしょう。

利益の分配はあくまでも仕事の成果に対応してなされるべきもので、これは一般の会社員のボーナスであっても基本的な考え方は同じのはずです。

もちろん一般の会社員に対するボーナスの考え方も会社によって様々ではありますが、一般論として全く何の成果もあげられず、会社の利益に何の貢献もできなかった社員に対して高いボーナス、あるいは他の社員と同レベルのボーナスが支給されるような会社はないでしょう。

つまり、報酬の全てが労働の対価という意味ではないにせよ、仕事を休まざるを得なくなったことで失ったお金というものはあるはずと考えられます。この点は、仕事をしていようがいまいが100%得られる預金利息や不動産賃貸料収入とは異なります。

専門家に相談を

もちろん、では具体的に失ったお金、仕事を休んだことで得られなかったお金というのが全体のどれくらいの割合なのかということは一律に決められるものではありません。その会社の報酬の体系、役員としての実際の仕事の内容などを総合的に勘案して決められることになります。

例えばベンチャー企業などの起業家であって、全社員の先頭に立って身を粉にして働き、その働きがないと会社そのものも立ち行かなくなってしまうような人の場合、交通事故により休業損害は大きなものになると考えられます。

一方で単に名目上のものであって実際にはその会社の仕事はほとんどしていないか、あるいは名誉職的なものに留まっており、労働の対価として報酬を受け取っているとはいえないような場合には、銀行利息や不動産賃貸料収入と同じようなものと考えられ、交通事故による休業損害はあまり受けることはできないでしょう。

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